やっとこさひと息ついて、10月11-16日にダマヌールを訪問した日本人アーティスト・グループのイベントについて、記録と記憶をまとめておきます。
現地でもよく聞かれたのですが、
「アユ、君がこのイベントをオーガナイズしたのかい?」
「いえいえ全然!自分は単なる付き添いです(^^;)」
ということでして、今年1月にダマヌールを訪問したピアニスト・作曲家の千代さんをトリトーネ&ジゴラに紹介したあとの出来事は、すべてダマヌール側と日本人アーティストたちの間で直接企画が話し合われ、今回実現の運びとなったものです。
もともとは昨年12月にダマヌールを訪問したダンサー・振付家のみるんさんが、ダマヌール側に申し入れた「2020年の東京オリンピックの年に、世界を結んだ芸術の祭典を」という企画に向けて、今回はそのPRになるようなミニイベントができたら、といった内容だったと聞いています。
そうしている内にダマヌール側の歓迎準備体制が次第に大きくなり、最終的には3日間、3箇所(オープン神殿、聖なる森の神殿、そして人類の神殿)での公開イベントとなりました。これはダマヌールの国際関係担当のパンダやフォルミーカ、そして最終的には神殿の芸術部門の責任者ピオブラらが積極的に後押ししてくれた結果のようです。
アーティストたちがダマヌールに着いた晩に行われた歓迎ディナーでは、ダマヌールの画家・芸術家を代表してアピとアルチェレ、企画メンバーとしてトリトーネ、チュフォロット、オルニトリンコが参加し、全員が日本人アーティストたちの作品や人となりについて、公開されている動画や画像などを見てよく知っていました。日本側からは、ピアニスト・作曲家の馬場千代さん、ダンサー・振付家の水野永子さん、書道家の徳山尭浩さん、ポップ・アートの畑山将生さん、朗読家の荻野恵美子さん、メイクアップアーティストの竹原千惠さん、そしてアユでした。
「みなさん、アーティスト同士というよりも、まずは人として友だちになりましょう!」
というトリトーネの挨拶で始まったこのディナーからも、ダマヌールを挙げての歓迎ぶりがよく伝わってきました。
ダマヌール側の「本気」を感じたのは2日目の聖なる森の神殿でのイベントでした。なんと森の奥に小さなステージを設置し、そこへダマヌールの小学校にあった白いグランドピアノを運んできたのです。
当日朝、小学校にお手伝いに行ってみると、あちこちのヌークレオから力自慢の若い男衆が7−8人(書道家の徳山さんまで!)集められていました。小学校にピアノを搬入したときに分解組立に携わったというイビスさんの指示のもと、分解されたグランドピアノはクレーンなしのロープと人力だけで運び出され、トラックの荷台へと引っ張り上げられ、聖なる森に運ばれていきました。もちろん、ステージへの設置・撤収もすべて人力で!
その後客席にはダミールのアーカイブから木製の折りたたみ椅子が運び込まれ、ゲストのための席には白い装飾布が飾り付けられ、当日ダマヌールを訪れていたイタリア内外からのゲスト多数を含め、総勢200名もの観客が詰めかけました。
開演前にはドローンが上空から空撮を行い、また撮影担当者はデジタルのバランサーであるジンバルを装備して撮影を行っており、ダマヌールにもデジタル・テクノロジーが着実に根付いていることを実感しました。
実際の公演の内容は後日動画が公開されると思いますが、異文化・異分野同士の交流がかくも見事に結実するのか!と、その実現に向けて話し合いを重ね準備してきた双方のメンバーの、お互いをリスペクトする想いを感じて胸が熱くなりました。
観客も最後はスタンディング・オベーションでアーティストたちを称え、終演後は観客・出演者入り混じって感想・感謝・感激を伝えあう光景が繰り広げられました(先日の記事で紹介した動画にその様子が収録されています)。ダマヌールのコミュニティー・ブログの記事にあるように、イベント全体がディアマンテルの木のオーラに包み込まれ、観客・出演者ともに、かけがえのない喜びのエネルギーを共有するマジックを体験できたのです。
違いや多様性を尊重し合うダマヌールならではの、ドグマティックな芸術観に縛られない、出演者も観客も含めた魂の交流を統合的芸術というコンテナ(容れ物)で包容した今回のイベントは、これから世界に対し更に開かれていくダマヌールを予感させる、そんな未来を確信させるものであったことを最後に書き記しておきます。
AYU