これも若手ダマヌリアンたちとの会話で出た話題の一つ。
イタリアでは通常、カプチーノは朝だけに飲むもので、午後やディナーの時にカプチーノを頼むイタリア人はいないらしい。以前、日本でイタリア語のレッスンに通っていた時の講師は、
「午後にカプチーノ飲んでるやつがいたら、そいつは絶対にイタリア人ではない!」
とものすごい剣幕で語っていたっけ。
ローマ在住の日本人の方に話を聞いた時にも、
「お呼ばれディナーの後にカプチーノを頼んだら、それは『あなたの出したディナーは量が少なかった、不満足だ』って意味になるから失礼にあたるんですってよ!」
と、知り合いの方に叱られたというエピソードを話してくれました。
しかし、この若手ダマヌリアンたちとのランチ後の団らんでも、日本人数名がカプチーノを飲んでいたのだけど、誰もそのことを気にする様子もなかった。
そこで思い切って聞いてみた。
「ね、イタリア人は朝しかカプチーノ飲まないってホント?」
「ま、そうだね」
「夕食後にカプチーノ頼んだら失礼に当たるって聞いたことがあるんだけど」
「うーん、それって古い慣習じゃないのかなぁ」
ここダマヌールではイタリア人が多いのは当然だが、ドイツ、クロアチア、オランダ、デンマーク、スペインなどヨーロッパの主要な出身地の市民がひしめき合っているので、それぞれの持つ習慣は実に多様性に富んでいる。
なので、ある国や文化から見るとおかしな習慣も、それぞれの多様性として尊重しあっているようなのだ。そしてお互いの違いを尊重しながら、新しい文化を創造していくのだという気概に満ちている。
イタリアの朝食はパン1個とカプチーノなどのドリンクだけ、とか飲み物だけ、みたいなシンプルスタイルで、ダマヌールに滞在しているとすっかりそれに慣れてしまうのだが、訪問初期の頃は日本式のしっかりした朝食が恋しい時期もあった。
とあるヌークレオでいろんな国の人々と話をしていた時にも、ドイツ人女性が
「ドイツでも朝食はしっかり食べるから、ダマヌールに来た頃は恋しかったわ」
と話してくれた。それも次第に変わってきているようだ。
日本人のゲストや市民も少しづつ増えてきて、ヌークレオで和食に腕をふるったりすることもあるらしい。
さまざまな文化が混ざり合い、受け止めあい、新しい文化や伝統を創造していくというアトモスフェール(空気・雰囲気)は、確かに若いダマヌリアンたちにも受け継がれ、さらに新しい人達を惹きつける吸引力にもなっている、そんな印象を受けました。