この夏、さとるさんには5日間の夏休みがあったが、そのうち3日間一人でラーナのところへ行き、現在作成中のログハウスづくりのお手伝いをさせてもらった。
もともと、ものづくりが好きなさとるさんは、緑に囲まれたとても気持ちのよい場所で、作業に没頭し、みなさんにとてもよくしてもらい、東京に帰りたくなかったらしく、、それから一週間くらいだろうか、田舎暮らしと東京の生活のギャップに順応できずにいた。
彼が夜の高速をとばして東京に帰ってきたのは深夜1時頃だったが、エネルギーでいっぱいに満たされて、ぜんぜん疲れを感じていない様子のさとるさんの手には、ラーナがもたせてくれた箱いっぱいの野菜の山が!
帰る日の朝、もいでくれたという。
茄子、トマト、(ふつうの)ゴーヤ、・・ん?何これ?・・んん?これは??
「大きな白いのは、これゴーヤ。小さいメロンのようなまるいのは、ズッキーニだって。」
さとるさんは教わってきたとおりに説明した。ラーナのところでも食べたけどおいしかったよと。
翌朝、わたしはラーナの畑の野菜たちをいそいそと料理した。というか、なかば実験感覚だ。
言われた通り、白いゴーヤは種をとって薄くスライスしてみることに。しょうゆとかつおぶしをかけて生で食べるといいらしい。ちょっと苦味があるけど、みずみずしくていける!
昼すぎに実家の母がやってきたので、ラーナの野菜料理をふるまった。
まるいズッキーニは、3ミリくらいに薄く切ってごま油でいためて、シンプルに塩だけで味付けしたのだが、ねっとりと歯ごたえがあり、冷めても甘みがあっておいしかった。
極めつけは、とまとだ。
「昔は冷蔵庫なんてなかったから、桶に水をはって、トマトを冷やして食べたのよ。」
そう言う母に促されて、ボウルに水をはって、しばらくトマトを浮かべておいてから、手で皮をむいてまるごと一個ガブリついた。冷蔵庫で冷やして食べるよりずっとおいしい!
真っ赤な太陽の色をしたトマトだから、こうして食べてもおいしいのね。昔のトマトの味がすると母も感激していた。私にとってここ数年で一番感動した夏のひとときだった。
次は屋根かけのときにまたお手伝いさせてもらいたい。
さとるさんは短かったけど濃縮された夏休みをしずかに胸にしまっている。