本の編集の仕事をしている知人が教えてくれた話です。
コロンビアのある町の、小高い山のてっぺんに、寺院を改装した小さな図書館がつくられたのだそうです。
知人は、その小さな図書館を見学し、帰ってきたときに、ある住人からこんなことを言われました。
「生きて帰ってこれたのね」
その小高い山の山腹には、スラム街が広がっており、かつてその町は、「麻薬売買の中心地」と呼ばれるほど治安が悪かったのだそうです。
ところがある日、麻薬売買の中心人物が倒れたことをきっかけに、国が動き出しました。
「このままでは国が滅んでしまう」
本気でそう考えた役人たちが目を向けたのは「こども」でした。
国が、未来を変えるために、こどもに本を読ませようと試みたのです。
そんな発想から生まれた図書館は、こどもだけでなく、スラム街に住む大人たちの心も変えていきました。
図書館ができたことで人が集まり、自分たちの住む場所を見直し始めたスラム街の人々の間から、犯罪が少しずつ減っていきました。
今、コロンビアでは、国家予算の3分の1(←衝撃!!!)が、教育にあてられているのだそうです。
住人は言います。
「本を持つ手は、人を殺さない」
知識と命が直結する現場の、本当にあった話です。
CLIONE